1990年代に活躍し、引退後も"伝説のジュニア"と評されるほどの人気を誇った小原裕貴が出演し、後藤理沙がヒロインを演じたのが2000年の映画「ガラスの脳」だ。
1954年、富士ノ原で旅客機の墜落事故が発生。
■小原裕貴が少年の揺れる心を繊細に表現

(C)2000 日活・毎日放送
原作は手塚治虫の同名漫画で、"生命の神秘"をテーマに少年と少女の純愛を描いた本作。
当時19歳の小原が演じているのは、高校生の雄一。幼い頃に病院で由美に出会っていたものの、高校生になる頃には由美のことはすっかり記憶から薄れ、クラスメイトと共に高校生活を送っていた。
由美のことを思い出し、いても立ってもいられなくなった雄一は、由美に会うために再び病院へ通うようになる。幼い頃と同じように、由美が目を覚ますことを願って「目を覚まして。僕が王子様だよ」と由美にキスをするシーンは、小原の端正な顔立ちも相まってとても美しく描写されている。
■17年ぶりに目を覚ましたヒロインのピュアさと可愛らしさを後藤理沙が体現

(C)2000 日活・毎日放送
一方の後藤も、実に可愛らしくヒロインの由美を演じた。目を覚ましたばかりの由美は、体は17歳だがまだ歩くことも話すことも出来ず、赤ん坊のような振る舞いを見せる。雄一におんぶされて外に出かけて初めての光景に目を輝かせたり、そうかと思えば、雄一の背中で手足をバタバタと動かして何かを伝えようとしたりと、少女でありながら中身は赤ん坊という難しい役どころを、後藤が好演している。また、急速に脳も心も成長し、歩いたり話したり出来るようになった由美の成長ぶりもナチュラルに演じる。病院に雄一が来た時に嬉しそうな表情で話しかける姿や、自身の恋心を語る真っ直ぐな瞳、そして傷ついた時には全身で悲しみを受け止める。そんな由美のピュアな心を表現する後藤の演技にも目を引かれる。
物語が進むにつれ、由美の気持ちや衝撃の事実も明かされていく。
手塚治虫原作らしく、生命の神秘と純愛を、ファンタジックな設定も加えながらミステリアスに描き出した本作。純愛を胸に抱えた少年は、どんな行く末を選ぶのか。タイトルの「ガラスの脳」に込められた意味とは?小原と後藤の演技に注目しながら、2人の愛の結末を見届けてほしい。
文=HOMINIS編集部
放送情報【スカパー!】
ガラスの脳
放送日時:2025年6月6日(金)8:30~、6月12日(木)18:00~ほか
チャンネル:衛星劇場
※放送スケジュールは変更になる場合がございます